ブッダ・スクールが開校20周年

2023.05.29


AAFが支援するネパール・フィリムのブッダ・スクールが本年4月に開校20周年を迎えました。
1999年に初めてフィリムを訪れた時、この地には電気も電話も水道もなく、小学生十数人が野原で先生を囲んで勉強をしていました。車が通れる道から歩いて3~4日かかる陸の孤島のような村でしたが、マナスル街道を始め周辺の9つの県からの街道が交わる交通の要所でもありました。この村にぜひ高校を卒業するまで勉強できる学校を建てたい、という村長や村人の思いを受けて、2000年の春に竹中工務店設計部の有志が中心になってボランティア団体AAFを設立、学校建設計画をスタートしました。
多くの皆様からのご支援、ご協力を得ながら紆余曲折を経て、ブッダ・スクールが竣工したのが今から20年前の2003年4月です。AAFではその後も支援を続けてきましたが、この20年の間に様々なことがありました。

何時間もかけて遠方から通う子どもたちのためにすぐにでも寄宿舎を建てたかったのですが、ネパールの政情が不安定な状況に加えて資金がなかなか集まらず、6年後の2009年にようやく寄宿舎3棟と食堂、便所棟を増築。教員宿舎棟を建設中の2015年にはネパール中部大地震により、寄宿舎3棟と教員宿舎の壁が崩れ、修復不能な被害を受けました。翌2016年から再建工事に着手、15か月かけて寄宿舎3棟を建て直し、その後も施設の整備を支援。2018年に寄宿舎を1棟増築、2021年にコンピュータールーム棟、2022年には便所棟とシャワールーム棟を増築しました。
2003年度に207名だった生徒数は今では400名を超え、卒業生の成績も優秀で、生徒数は増える一方。2021年にはネパール政府により校舎が増築されました。震災復興に伴い、水力発電による電気や、インターネットも使用できるようになり、フィリムはこの地域の中心的な村となっています。道も徐々に整備され、今では乾季であれば歩いて1日の村まで車が入れるようになりました。資材の運搬が容易になり、学校の周りにも年々建物が増えています。

資金面では2007年から賛助会員制度を始め、今では82名の一般賛助会員、7社の法人賛助会員の皆様にご協力いただくと共に、毎年多くの方からご寄付をいただくことによって、活動を継続することができています。AAFは当初任意団体として活動していましたが、2015年にNPO法人の認証を取得、2022年には認定NPO法人となり、寄付金の税額控除を受けることも可能となりました。また日本人でエベレスト初登頂を果たした松浦輝夫さんが設立された松浦育英基金からは開校1年後の2004年より給食費などの支援をいただき、2015年に亡くなられた後もご遺族のご厚意によりブッダ・スクールの教員給与の支援を継続していただいています。ネパール政府では予算の関係で必要な教員数が採用されず、やむなく辞めていく教師も多いのですが、この教員給与支援により現在ブッダ・スクールの卒業生2名が母校で子どもたちを教えています。

20年前と比べてこの地域の教育環境は格段に向上してきましたが、ブッダ・スクールでは生徒数の増加による教室不足、給食の厨房の面積不足、施設の維持管理などまだまだ様々な課題を抱えています。今後も引続き皆様のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。