ネパール中部大地震により被災したフィリムのブッダ・スクールの寄宿舎の再建工事が2棟まで完了。テント暮らしの生徒55名が入居しました。

寄宿舎で生活をする生徒たち
ネパール中部大地震により被災したフィリムのブッダ・スクールの寄宿舎再建工事が2棟目まで完了し、地震後テント暮らしを続けていた生徒のうち、55名が入居しました。
昨年末に崖崩れで遮断されていた山道が復旧され、年明けから資材の運搬を開始、1棟目の寄宿舎を1~4月、2棟目を4~7月に再建しました。その後3棟目の工事を7~10月で完了させる予定でしたが、雨季(6~9月)に入ってから、資材運搬が思うように進まず、特に足元が悪いと屋根の野地板に使う合板を運ぶのが困難なため、2棟目の庇と屋根工事だけが未了の状態でストップしてしまいました。10月のネパールのお祭りであるダサイン終了後に、工事を再開し遅くとも12月には完了させる予定です。
一方、大破はしなかったものの、一部の壁が崩れた厨房と便所はいまだ全く手つかずの状態で、2度の雨季を経て傷みが激しくなってきています。AAFは学校建設委員会と協議し、比較的短期間に修復できるであろう厨房の修復を早期に着手することを決定しました。壁の修復に合わせて、厨房内の環境改善のために煙突の設置も行います。便所についてはしばらくは現状のまま使用しますが、女子便所と男子便所を別棟にしたいという学校側の要望や、教室棟の増築などの将来計画を考慮し、建替えることも視野に入れて、検討していく予定です。

9月中旬から下旬にかけて、AAFメンバーがカトマンズからフィリムまでの陸路での資材運搬ルートを確認したところ、車で通れる道の大半が舗装されていないため、雨でぬかるんだ道に車輪をとられてトラックやバスなどの大型車両は何度も立ち往生し、まともに走れない状態でした。徒歩でしか行けない山道に至っては、とても道とは言えず、地震で崩れた岩の上や、地滑りで削れた斜面をかろうじて通ることができるというところが何か所もありました。少しバランスを崩すと転落しそうな状態のため、雨季に合板のような面積のある資材を運搬することが大きな危険を伴うことは容易に想像できます。これから乾季に入り、多少状況は改善されると予想されますが、資材運搬に関しては十分な注意喚起を促す必要があります。

フィリムで水力発電による電気が使えるようになりました

昨年12月25日にフィリムから約6㎞南のジャガットという村に建設された水力発電所からの送電線工事が完了しました。これまでも小規模な水力発電や太陽光発電により、一部で電気の使用は可能でしたが、今回は一般の民家にも送電され、ある程度安定した電力が広い範囲で使用できるようになりました。ブッダ・スクールでは職員室と食堂に水力発電による電気を引き込み、太陽光発電と併用して照明器具やパソコン、プリンター等に使用しています。ブッダ・スクールでプリンターが使えるようになったことは画期的で、これまでは打合した内容や工事の指示も手書きで転写したり写真に撮って共有するしかなかったのですが、その場でコピーして関係者に配布することができるようになり、合意形成の効率化に大いに役立っています。
またブッダ・スクールの卒業生も現在2名が発電所の職員として働いています。
安定した電力供給は村人たちの長年の願いであり、生活の利便性の向上や公共施設の環境が整備されることは歓迎すべきことではあります。しかしその一方で街道沿いに鋼製の電柱が立ち並び、電線が張りめぐらされた光景は、ネパール政府が保護しようとしている美しいヒマラヤの自然景観を損なうものであることもまた事実です。